エンディングノートとは

URLをコピーする
URLをコピーしました!
目次

エンディングノートとは

エンディングノートとは、文字通り「エンディング=終わり」に関するいろいろな自分の希望や思いなどを書いておくノートのことです。「エンディング」という言葉から一般的には「高齢者が書くもの」と思われていますが、私は「リビングノート」「もしもの時の架け橋ノート」として年齢を問わず書くことをお勧めしています。「もしも」のときのことが起きたときのために、家族や友達などに伝えておきたいことをノートなどに書いてまとめておけるからです。ただこのブログを読んでくださる方は高齢の方が多いはずですので、ここでは全般的に高齢者の方向けに書いています。

そして「エンディングノート」という言葉が一般的なので、ここでも使いますが、「エンディング」のことを考えながら書いていくと、いろんなことが整理されていき、今までの自分の人生が棚降ろしされていきます。そうすると、その先の、これからの残りの人生のことを考えるきっかけになります。なので使われている単語は「エンディングノート」ではありますが、そこから「これからの人生スタートノート」にもなっていきます。これは実際にやってみると分かってくると思うので、是非書き始めてみてほしいです。

人間生きていると何が起きるか分かりません。いつ死ぬか分かりません。訪問介護の仕事を通じて余計にそう思うようになりました。今私はこれを書いていますが、数時間後に交通事故にあったり、心臓発作が起きたりして、死んでしまう可能性はあります。事故でなくても地震や台風、地すべりなどの自然災害もあります。日本は特に自然災害が多いですが、オーストラリアでも山火事や洪水などが起きます。でもそんなときに、私がエンディングノートを書いてあることで、私の家族はその後のいろいろな私に関する事の処理を、そのノートに頼りながら進めることができます。家族を少しでも困らせずに済みます。

「取説」「自分の取扱説明書だと思うと分かりやすいでしょうか?この項目はここを読めば私に関する対処の仕方が分かるというわけです。

「延命治療はどうしてほしいって言ってたっけ?あ、ここに書いてある」「何の保険に入っていたのかな?あ、ここに全部書いてある」「お葬式には誰を呼べばいいのかしら?あ、ここに連絡先が全部書いてある」「ペットことはどうすればいいのか分からない、あ、こうしてほしいのね」というような感じです。

私のエンディングノートの「トラブルシューティング」のとどめは「分からないことがあったら彼女達に連絡して」と、日本人の親友の連絡先を3人書いてあります。日本在住の一人とシドニー在住の二人です。私の場合、家族が日本語の読み書きができないため、日本語で書かれていることに対処しなければいけないときに、そのことをお願いできる人が必要だからです。私の家族が何か日本語関連で分からないことがあったら彼女たちが、私の過去のメールや携帯から情報を探してくれることになっています。

エンディングノートに書く一般的なことは、自分が「死ぬまでのこと」と「死んでからのこと」を書くことが多いです。「死ぬまでのこと」としては、延命治療や介護の希望、銀行口座や保険のリスト、家族へのメッセージのことなどになります。「死んでからのこと」には連絡してほしい相手のリスト、葬儀、お墓や法事、ペットのこと、財産分与のことなどです。

そして、こういったことだけでなく「自分史」として記録するという使い方もできます。生まれたときからのことを時系列的に書いていくとのも今までの人生をまとめて振り返るいい機会になります。書いていく中でまた会いたい人が出てきたり、行ってみたいところが出てきたりもするのではないでしょうか。

「家族への感謝や想い、願い」を書くこともできます。面と向かっては恥ずかしくて言えなかったりすることも「書く」ならできたりしませんか?距離的に直接会うことが難しい場合も多いと思います。今までの感謝を伝えるために書いておくことで、自分の気持ちがもっと落ち着くはずです。

このように「エンディングノート」はいろんな使い方ができます。普通のノートに書くのでも、パソコンに入力するのでもご自分に合った方法でいいのですが、やはり始めやすいのは「自分の目的」にあった市販のエンディングノートを選んで購入することです。

エンディングノートと遺言書の違いとは

エンディングノートには遺言書とは違って「法的効力」がありません。そのため「エンディングノート」に書いておいても、書いたとおりのことが実際に起きるとは限りません。たとえば相続に関することなどです。遺言は「亡くなった後」でのことを書きますが、エンデイングノートには「今から亡くなった後のときのことまで」色んなことを書くことができます。

エンディングノートを書くメリットとは

「エンディング=死」と考えるので、どちらかというとエンディングノートに対して「マイナスのイメ―ジ」を強く持たれている方が多いのではないでしょうか?前にも書きましたが エンディングノートを書くメリットはいくつかあります。

私が経験上書いてみて一番に思うのは、先にも書いていますが、これを書くことが「残りの人生をよりよく生きることにつながる」ことです。いろいろなことを1つ1つ書いていくなかで、今までの人生を振り返ることになり、自分の現在地点と状況を知ることになり、そしてこれから残された時間をどう生きていこうか、ということを考えるきっかけになることがたくさん出てきたりします。

私の場合は書いてるうちに「あー、行きたいと思っていたけどまだ行ってない場所や国」が出てきたので、まだ飛行機に乗れるうちに行こう!と計画を立てています。「あれ?私はピアノやお花をまた習いたいと思っていたんだ」ということも分かりました。「あー、あの人にまた会いたい!」と思う人が改めて出てきたので、一時帰国の度にできるだけ会うようにしています。

他には、言うまでもなく残された「家族の負担を減らせること」です。いろいろなことに関する自分の希望を書いておくことによって家族が悩むことを減らすことができます。自分で自分の意思を最後まで伝えられるのならいいですが、そうではない状況になることも多いです。前もって伝えたいことを書いておけば家族は助かることが多いでしょう。

私の場合は母が末期がんが発見されてから9か月後に亡くなったのですが、終活に関することは何一つとして母に聞いたことが無かったし、その9か月の闘病の間に聞くことはとてもできませんでした。「死んだ後のこと」というのは、日頃から会話が多く仲が良いご家庭だとしても家族内で話題に上がることはとても少ないと思いますし、お子さんの立場で気になっていたとしても「死んだときのこと」を親御さんにはとても聞きずらいのが普通だと思います。ですからなおのこと、色んなことを書き記しておくとご家族が助かることは多いし、できるならご自分からその話題をたまに持ち出してお話ししてみたらいいかと思います。

うちは母のことがあったので、88歳の父にはいろいろなことを今のうちに聞いてあります。夫はやはりそういう「亡くなった後のこと」を自分の両親に聞くことができていなかったのですが、私が父の話をしたことがきっかけで埋葬してほしい場所を聞くことができました。彼のご両親がそれぞれ「この木の下に埋めてほしい」ともう決めてあったことを知り、とても驚き「あの時に君が聞いておいてくれて本当に良かった。知らなかったらきっとどこかの墓地にしていたと思う」と言ってました。

そして「経済状況を把握することができる」のもメリットです。現時点での預貯金や株などの資産や、生命保険や年金のことなどを正しく書くことになるので、現時点での経済状況を知ることができるためにその先のことを準備することができます。保険にいくつも入っているから大丈夫ーって思っていて、よくみてみたら高齢になってからの部分がカバーされてなかったなんてこともありますので、1つ1つ内容をみておきたいですね。私は生命保険会社に5年ほど勤めていましたが、ご自分が加入している保険の内容を正確に把握している人はとても少なかったことを覚えています。

いつ書き始めるのがいいのか

厚生労働省によりますと2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳で世界第1位、男性が81.64歳で世界第2位となっています。その年になるのはまだまだ先のことだと思われる方もいるかもしれませんが、今の世の中、いつ何が起きるか分かりません。認知症が始まったりして記憶力が少しずつ落ちていくこともあり、判断ができなくなってくることもあります。

今日のあなたが今の人生で一番若いです。書き始めるのは思い立ったときが一番です。今このブログを読んでいるということは、終活のことが気になっているからですよね? 

気力も体力もある」うちに終活を始めるほうがやっぱり良くて、そしてエンディングノートは出来るなら「モノの片付けを一通り終えてから」書く方が、何もモノを片付けていない時に書くより、充実した内容になるはずです。何故なら「モノが減って片付いて家の中がスッキリすると、頭の中も片付いてスッキリしてくる」からです。そのスッキリ状態で書くのと、モノが家の中に溢れかえっている状況で書くのとでは、書くことは自ずと変わってきます。

でも!片付ける気力が無い、その体力も今は無い、、、のなら、それでいいです。大丈夫です!エンディングノートを今の状況のまま書きましょう。モノが片付いてなくても「書かないよりも書く方が絶対にいい」です!

「どんなエンディングノートがあるのかな?」と是非検索してみてください。

まずはそれが「最初の一歩」になります。

書き始める順序

では、じゃあエンディングノートを購入したり、書くノートを用意して、いざ書いてみよう!と決めてみたものの、どこから書き始めたらいいのか?と分からないという方も多いかと思います。市販のものを使うときには「全部の項目を埋めなきゃ」と思うと最初はかなり大変に感じると思います。私はそうでした。

全部書かなくていいのです。全部書ける人は滅多にいません。そして一度に書かなくていいのです。気になったところだけを書けるときに書く、これの繰り返しでいいのです。全部の項目を埋める必要はありません。

ペットのことが一番気がかりならばペットのことを最初に書いていいです。財産のことが気がかりならばそこから書いていきましょう。いざ書こうとすると、結構時間が取られるものです。かなりかかります。たとえば「今日は銀行のことだけ書こう」と思ってみても全部の通帳、印鑑などの情報がすぐに出てきますか? この銀行のはここの引き出しで、あの銀行のはこっちのバッグにあって、印鑑は違う場所にあって、となることは多いかと思います。保険もいくつも加入している方が多いのではないでしょうか?それらの保険証書がすぐ出てきますか?その場所を覚えていますか?私はバラバラにしまってあったので探すのが大変でした。

多くの方は「緊急性の高いこ」、「自分にしか分からないこと」から書くことになるかと思います。それぞれ違いはあるかと思いますが、介護の希望、延命治療などの医療関係のことかと思います。

私が医療関係の次に書いた項目は「銀行関係と自動引き落としになっているサービスのこと」です。私が利用している自動引き落としの日本のサービスは家族が知らない部分が多いので、もし何も書いていなかったら引き落としを止めるための連絡先を調べるのはとても大変です(私の夫と子供達は日本語の読み書きができません)。残された家族が一番気になることはやはり預貯金や不動産などの財産に関わることではないでしょうか?

そして書いていくと「なかなか書けないところ」が自分で分かってきます。それが保険や銀行関係の人もいるでしょうし、連絡してほしい友人のメルアドだったり、サブスクを停止させるための方法だったり、ペットをどうするか?だったり、いろいろ人によって、なかなか書き込めない、分からない部分が出てくるはずです。それが分かれば、じゃあどうするか?と調べる、考える良いきっかけになります。そのことが頭のどこかに入っていれば、その事に関連する情報に関心を持つようになります。

まずはできるだけ早く、1項目でもいいので「書き始めて」みましょう。

お勧めエンディングノート

エンディングノートに形式に決まったものはないので、何に書いても良くて、市販のノートに書くもよし、パソコンが好きな方はパソコンに入力していくのもよし、です。今は携帯のアプリも何種類もあるので、スマホが 得意な方はスマホでのやるのもいいですね(携帯のパスワード管理のことがありますが)。もしも市販のノートにするならば、それを手にする度に心が落ち着くような、自分のお気に入りのデザインを選んでください。

色々ある中でなんといっても、一番始めやすいは、市販のエンディングノートを購入して、1つ1つ記入していくことです。ただ一言でエンディングノートといっても、多種多様なものが売られています。自分史が書けるようになっているタイプや、バインダー形式でページが増やせるタイプ、薄目で最小限の内容になっているタイプ、キャラクターがついているタイプ、終活のポイントやアドバイスなども書かれているものなど本当にビックリするくらい色々あります。

本屋さんに行くことができるのならば、近くでできるだけ大きい書店に行き、実際にいろんなタイプのノートを手に取って中身をみてみてください。本屋さんに行けないのならネットで検索して中身を見比べてみましょう。楽天やアマゾンにたくさん出ています。ダイソーで売られている「もしもノート」も好評だそうです。そしてその中から自分に一番向いてるもの、書きやすいな、と思えるものを選んでください。私が手元に何種類かあるので、1冊ずつアップしていく予定です。

知らせておくことー保管場所

そして、エンデイングノートを書き始めたのならば、そのことを家族に知らせておくことが大事です。せっかく書いておいても、いざ必要なときにそのノートが見つからなかったら困ります。 せっかく書いたことが無駄になってしまうことになります。 保管した場所を自分で分からなくなることもあり得ます。私はへそくりをどこに隠したかを何度も忘れています!(なので見つけるたびに喜べますー笑)

そして大事なのはその「保管場所」です。エンディングノートには大事な個人情報がたくさん書かれています。他人に見られては困ることが書かれていることもありますので、安全なところに保管しておく必要があります。かといって自分にしか分からない場所にしまってしまえば見つけてもらえません。銀行の貸金庫に保管してしまっては開けてもらうのにかなり大変です。その鍵の場所を家族が知らなければ貸金庫の鍵を探すところから始まります。そして度々書き足していくということも、自分で毎回銀行に行って貸金庫から出すのではなかなか続かないです。

他人に見られたら困る重要なことだけを書いたノートだけを貸金庫など安全な場所に保管するなど、2冊使いもお勧めです。そしてその保管場所を家族がすぐ手に取れる場所に置いてある方のノートに書いておきます。

私は自分の本棚に置いてあり、家族も知っています。私の闘病中の友達は独身で身近に頼れるご家族がいないため、書いたノートをケアマネさんが分かるところに置いてあるそうです。

私はノートと共に書いたときに使った資料なども一緒に挟んであります。たとえばサブスクの領収書のメールを印刷したものなどです。ノートの中に記載もしてありますが印刷されたのを見る方が見やすいからです。保険や年金の書類も一緒にしてあります。

家の中を見渡してみて、「どこに置いておくと、自分でも手に取りやすくて、家族にも分かりやすいだろう?」と考えてみてください。

そして折をみて内容をアップデートして最新のものにしておくことが必要です。自分の財産状況や体調なども変わっていきます。一通り書き終えた!と思っても、半年ごととか、毎年誕生日の前後に見直すとか決めておくといいですね。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事を書いた人

30歳で日本を離れアジア数か国で仕事をした後にシドニーへ。オーストラリア人の夫と二人の娘+ワンコ1匹と暮らしています。以前は汚部屋に住んでいましたが数年前に片付けに目覚め、整理収納、写真整理、お掃除、終活関連の資格を取得。55歳のときに資格を取り今は訪問介護の仕事もしております。

目次
閉じる